真摯に食材に向き合う料理行司の店

くずし懐石 縁(ねこや)

地下鉄烏丸線「今出川」駅から徒歩5分。京都御所に程近い、閑静な街並みに佇むのが、「近畿の料理人100人」に選出された鈴木健夫氏が手掛ける、くずし懐石の店だ。

くずし字の「縁」という文字が印象的な暖簾がかかるお店
くずし字の「縁」という文字が印象的な暖簾がかかるお店

京都南禅寺「瓢亭」で修行をスタートし、その後さまざまな店で腕を磨き、1988(昭和63)年に「くずし懐石 縁」を開業。当時はまだあまり懐石料理に使われることがなかった食材を取り入れ、新しい京懐石を目指したいという思いから、「くずし文字」になぞらえた店名「くずし懐石」を名乗ったのだそう。現在の烏丸一条には、2008(平成20)年に移転。「料理人として初心に立ち戻り、仕込みから仕上げまで、すべてを自分の手で作り、お客様に提供したい」というのが、カウンター7席だけの小さな店を開いた理由だ。

「お客様に喜んで頂ける料理を作りたい」という思いからカウンター7席だけの店を開業
「お客様に喜んで頂ける料理を作りたい」という思いからカウンター7席だけの店を開業

確かな目で素材を選び、素材の味わいを引き出した料理の数々。季節の移ろいや京都の四季の美しさを五感で感じられる一皿を楽しみに、毎月足を運ぶ常連さんも多い。1月は白味噌じたてのお雑煮、2月はフグの白子のミゾレ吸い物、3月は焼き穴子蒸し、4月は三宝柑の胡麻豆腐、5月は蕨のクルミ和え、6月はジュンサイの土佐酢がけ、7月は鮎の塩焼き、8月は鱧の付け焼き、9月は名残鱧の付け焼きを散らした飯蒸し、10月はカマスの塩焼き、11月は水菜・海老・白身魚・シメジの柚子釜、12月は穴子の雪化粧など、その時期にしか食べられない料理を行く季節を惜しむように、味わってほしい。

器にもこだわりがある鈴木氏。料理はもちろん、季節のあしらいと盛り付けは目で見ても楽しい
器にもこだわりがある鈴木氏。料理はもちろん、季節のあしらいと盛り付けは目で見ても楽しい

カウンターでは、鈴木氏が調理する様子を間近に見ることができる。「使われている食材、調理法、なんでもお尋ねください。ご質問下されば喜んでお話しいたします」と鈴木氏。昼は11:30~、夜は17:00から席を予約できる。「料理を味わっていただき、料理を肴に会話も楽しんで、ゆっくりと過ごしてほしい」という思いから、閉店時間は特に決まっていないという。カウンターだからこそ、楽しめるくずし懐石を味わってみては。

10月の献立のひとつ「炊き合わせ 蕪のたき物 刻み柚子を飾って」
10月の献立のひとつ「炊き合わせ 蕪のたき物 刻み柚子を飾って」

くずし懐石 縁(ねこや)
所在地:京都府京都市上京区烏丸一条下がる龍前589 
電話番号:075-411-1822
営業時間:昼11:30~
     夜17:00~
定休日:木曜日、月末週の水曜日
http://www.eonet.ne.jp/~en496/index.html

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