京都の街の縮図、右京区が持つ多彩な表情とは?

京都市のなかで最大の面積を誇る右京区。区内には4路線が走り交通の便が良く、また豊かな自然や里山の残る京北エリアも魅力のひとつだ。区民からも住みよい街として高く評価されている右京区。その環境づくりには区民と行政のつながりの工夫が活かされているようだ。「右京区役所」のなかでその役割を担っているのが「地域力推進室」である。今回は「地域力推進室」の式部企画課長と石田企画係長のお二人にお話を伺った。

お話を伺ったお二人
お話を伺ったお二人

――最初に、右京区の概要についてお教えください

石田さん:京都市は11の行政区があるのですが、右京区はその中で最も面積の大きな区になります。区役所の南部は「西院(さいいん)」と呼ばれる商業施設やオフィスの立ち並ぶ繁華街があり、西部には観光で有名な嵐山もあります。少し北に行くと北嵯峨という田園風景が広がる地域があります。そのほかにも、里山の京北地域や、日本の棚田百選にも選ばれている宕陰(とういん)地域など、非常にたくさんの顔を持っています。

実は今、「右京区ってどんなまちですか?」と、区民の方にインタビューをして回っているのですが、「一言では難しい」という回答が非常に多く、行きつくところは「程よく都会で程よく田舎」という、バランスが良く住みやすいところだということをよく聞いています。

式部さん:京都市の行政区は、商業や観光地、住宅、工業、里山や田園など、区によって様々な特徴を持っていますが、そのすべてをバランスよく凝縮した京都市の縮図のようなものが右京区だといえると思います。

桂川
桂川

――地域力推進室の業務内容についてお教えください

式部さん:区役所というのは住民票を発行するとか国民健康保険の手続きを行うとか、いわゆる窓口業務が半分以上です。それ以外のこと、例えば区民主体のまちづくり活動の支援や、自治連合会をはじめとする地域団体との連携などを行っているのが地域力推進室です。

――地域力とあえて“力”といれているところはなにか意味があるのでしょうか?

式部さん:これはあとのお話にもつながってくると思うのですが、実際のまちづくりの原動力になるのは市ではなく住民の皆さんであり、それを支える仕事をするところなんだということを表しているのだと思います。

区役所が入る「サンサ右京」
区役所が入る「サンサ右京」

――右京区の魅力発信・発見のために、力を入れている取り組みがありましたらお教えください

式部さん:市民しんぶんの右京区版は、魅力発信というよりも区民向けのもので、紙で発行しているほか、区のホームページとそれに合わせてFacebookも運用しています。

珍しい取り組みとしては「右京ファンクラブねっと」があります。これは地域のイベントや地域活動的な、ユニークな取り組みを行っている方がおられるなかで、そういう活動の情報をまとめたサイトがあったほうがいいなという発想から、また役所がやるのではなく活動している人たち中心で情報発信したほうがいいね、ということで運用しているサイトです。

石田さん:もうひとつ「右京じかん」という右京区ならではのものがあります。こちらは、NPO法人「子育ては親育て・みのりのもり劇場」が、2012(平成24)年より発行している季刊紙です。「人」に焦点を当て、右京のユニークな人を紹介するローカルメディアです。知名度も高くローカルメディア業界でも注目を浴びていて、この「右京じかん」から波及して他地域にも「〇〇じかん」という同じ趣旨のものが広がっています。

魅力を発信するための冊子なども発行
魅力を発信するための冊子なども発行

――区内で行われているイベントなどについてお教えください

式部さん:たくさんありすぎて何を紹介しようかと迷ってしまうくらいなのですが、区が主体となり地域で活動されている団体の皆さんと一緒に「ふれあい事業」というものを行っています。その中の代表的ともいえる大きな取り組みのひとつが毎年12月に行われる「文化フェスティバル」です。右京区内で文化活動をしている多様な団体が、歌やダンスなど日ごろの成果を発表する舞台です。もうひとつ、「ふれあいフェスティバル」も大きなお祭りで、たくさんの団体の活動紹介や飲食・販売ブースの出店、ステージ発表などを行っています。「京都サンガF.C.」などのプロスポーツチームも参加されています。

「ふれあいフェスティバル」の様子
「ふれあいフェスティバル」の様子

石田さん:区の主体以外でのイベントでは、毎年8月に行われる「西院フェス」があります。2002(平成14)年から継続しているサーキット型音楽フェスで、「西院春日神社」をメイン会場として、西院エリアを中心にしたあらゆる場所で、2日間にわたってライブを行っています。会場は飲食店や幼稚園、神社、銭湯のほか、嵐電の車両を一経路を貸し切ってライブ会場にしてしまうなど、ユニークなライブです。もともとは西院に関わる若者たちの発案で始まったと聞いていますが、今では区民の間で定着した一大イベントになっています。

「嵯峨祭」
「嵯峨祭」

式部さん:神社などが中心になった行事は拾い上げるとキリがないくらいですが、その中でもいちばん代表的なのが、渡月橋を神輿や鉾がわたる「嵯峨祭」です。日本の柚子発祥の地と言われている「水尾」では、「フジバカマ観賞会」などのイベントが行われています。

――「右京かがやきミライ会議」というものを開催予定しているそうですが、その内容についてもお教えください

式部さん:区の基本計画の策定にあたり、役所だけではなく、区民の方にもお集りいただき、5年、10年先の未来を一緒に作っていきましょう、という取り組みが「右京かがやきミライ会議」です。2019(令和元)年12月8日に第一回を実施して、本年度内に計3回開催予定です。街に関心のある方にアイデアを出していただき、また関心のない方にも関心を高めてもらうきっかけになればと考えています。これは「地域“力”推進室」のところで少し触れましたように、いま右京区がいちばん力を入れようとしている取り組みです。

石田さん:右京区に引っ越してきたけれど、右京区のことを知らないので参加したいと申し込みをされた方もいらっしゃり、情報発信と区民の力というものに着眼してきた、右京区の集大成ともいえる取り組みにしていきたいと考えています。

――大まかなテーマなどは考えておられるのですか?

式部さん:役所のほうからテーマを作るということもできるのですが、区民主体の活動として、フリーなトークから挙がったテーマを決めていきたいと考えています。

石田さん:各ステップは考えていて1回目は「集まった人たちのお互いを知る」、2回目は「右京の未来像を話し合う」、3回目は「未来像に向けてのアイデアや行動」、次の年度ではさらに掘り進めていくという繋がりになっていけばいいかなと考えています。

「右京かがやきミライ会議」
「右京かがやきミライ会議」

「右京かがやきミライ会議」
「右京かがやきミライ会議」

――右京区の中での太秦・梅津エリアの特徴や見どころを教えてください。

式部さん:太秦は右京区のなかでも最も古くから栄えてきた、右京の中心となってきた場所です。嵐電、地下鉄、JRと3つの路線があり、非常に交通の便がいいです。古くからの商店街も残っていてスーパーなどもあり買い物環境では普通に充実しています。そして太秦といえば外せないのが映画の街ということなのですが、役者さんなどが住んでおられたり、映画の香りのするものをなにかしら感じる地域です。

梅津は桂川沿いにあるエリアで、四条通に面しているにも関わらず多くの自然が残っているというのが大きな特徴だと思います。四条通に面しているためバスのアクセスが便利で、近くにはショッピングモールやスーパーなどの買い物の施設が揃っています。「梅宮大社」や橋を渡ると「松尾大社」があり京都らしい雰囲気もあります。昔の雰囲気もありながら新しい人の入れ替わりもあるエリアなので、非常に馴染みやすいところだと思います。

「梅宮大社」
「梅宮大社」

石田さん:市の中心部に比べて、右京区には自然もたくさん残っており、なおかつ交通の便がよく、買い物のスポットも整っているので、子育て世代が住むにはちょうどよい場所だとおっしゃる方も多くいらっしゃいます。

式部さん:最初にも申し上げましたが、右京区というのは多様な要素を持つ街ですので、1から10まで合わない人というのはいないと思います。どこかで琴線に触れる部分というのは必ず持ち合わせている街だと思いますので、まずは一度街に来て、街の雰囲気を見ていただければと思います。昔から住んでいる住民と新しい住民、新旧を交えながらも懐も深い街というのが魅力だと思います。

「広隆寺」付近
「広隆寺」付近

右京区役所 地域力推進室
企画課長 式部さん、企画係長 石田さん

所在地:京都市右京区太秦下刑部町12
電話番号:075-861-1107(代表)
URL:https://www.city.kyoto.lg.jp/ukyo/
※この情報は2019(令和元)年12月時点のものです。